WineでFileMaker Pro 9.0を動かしてみる

最近開発環境をWindowsからFreeBSDに移行しました。Windows上でのFileMaker+Web開発では、Eclipse or NetBeansFileMaker Proを同時に実行し、ウィンドウを切り替えながら開発していましたが、FreeBSDではFileMaker Proがインストールできないため

という煩わしい環境になってしまっていました。(rdesktopでFileMakerも操作すればいいのですが、処理が重く、ストレスが溜まるので避けています)

どうにかしたいと思っていたところ、先月あたりに「WineでFileMaker動くかも」ということを教えていただき、ちょっと実験してみました。


Wineは現在開発が活発におこなわれている、WindowsAPIを動作させることを目標にしたオープンソースソフトウェアです。現在のWineのバージョンは4月18日(米国時間)に公開された0.9.60で、GNU LESSER GENERAL PUBLIC LICENSE Version 2.1のもとで公開されています。

Wine上でのFileMakerの動作については、Wine AppDBによると、現在 4.1 〜 9.0 までのFileMakerが動作することが確認されているようです。そのうち、4.1 と 8.5 はUbuntu上ではかなり高い安定度で動作する、ということが報告されています。

今回インストールしようと思っている 9.0 Advancedでは、Wine 0.9.57時点で残念ながらスクリプト一覧や、フィールド一覧が空欄になってしまうという不具合があるそうです..

Wineの詳しい紹介はさておき、ここでは

  1. Wineを使用した、FileMaker Pro 9 Advanced(v1)のインストール
  2. アプリケーションの起動
  3. ちょっとさわってみたところ
を簡単に紹介してみたいと思います。実行環境は次のとおりです。

Wineを使用した、FileMaker Pro 9 Advanced(v1)のインストール

筆者の環境だと、CDを挿入するとなぜがsegmentation faultを起こしてOSごと落ちてしまうので、あらかじめCDの内容を他マシンからコピーしておきます。

% wine Setup.exe


インストーラが起動します。とくに問題はありません。次へ進んでいきます。


Japaneseと選択していましたが、UIは英語のままでした。それ以外はとくに問題ありません。次へ進んでいきます。


インストールするディレクトリを決定し、次へ。


インストール完了です。

アプリケーションの起動

GNOME を使っている場合は、左上のアプリケーション > その他 に「FileMaker Pro Advanced」が作成されていますので、そこから起動します。

コンソールから起動する場合は、インストールしたディレクトリまで移動し、wine FileMaker Pro Advanced.exe を実行します。


起動直後の画面。日本語が微妙に表示できていないようです。wineの設定かな..

起動はとくに問題ありませんでした。起動時にかならず最大化の状態で起動するようですが、これもwineの設定かな..

ちょっとさわってみたところ


test.fp7を作成し、データベース定義画面を開いているところ。


フィールドを作成し、適当にデータを入れてみた。


ネットワーク越しのFileMaker Serverを参照。問題なくファイルが表示されている。

結果/感想

残念ながら私の環境では安定しないようです。しょっちゅう落ちます。端末からwine FileMaker Pro Advanced.exeを起動していると、落ちるときに

wine: Unhandled page fault on read access to 0x00000004 at address 0x18aacc1 (thread 0009), starting debugger...
というメッセージを確認することができます。

環境がかなり偏っているというのもあるかも知れませんが、今のところ、次の動作をおこなうと確実に落ちることを確認しました。

  • レイアウトモード上でフィールドの配置・移動をおこなった瞬間
  • 検索モードで検索、レコードが1件以上該当したとき

※Compizを起動し、ウィンドウアニメーションを有効にしていると、落ちる操作した直後、一瞬ウィンドウが作成されることが確認できます。Win版のFileMaker Proは9.0以降、作業ウィンドウとScriptMakerを同時起動できるようになった分、ウィンドウ回りの実装が8.5以前と比較して大幅に変更されている気がします。Mac版と比較すると、ウィンドウの描画処理(とくにリスト形式でのレコード操作)でWin版では処理中にMac版では発現しないちらつき・もたつきを確認できます。この現象は、8.5以前では発現していませんでした。推測になりますが、このあたりが不具合に影響してるのはないでしょうか。

また、例のスクリプト一覧やフィールド一覧が表示されないという問題はまだ発生してしまうようです。

レコードの閲覧だけならば、とくに問題はないようです。ネットワーク越しに 10万件近くのレコードが保存されているファイルを開いて操作してみましたが、所轄処理が遅いということは感じませんでした。

しかし、検索やレイアウトの操作をおこなえないようでは残念ながらまだまだ実用には遠いようです。Wineの今後の動向・発展に期待したいところです。